青いふたり

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青いふたり

夫30歳。私24歳。 私達は結婚した。 結婚式の準備を始めた頃から ケンカをすることが増えていき 何となくしっくりいかないまま新婚生活に突入。 私達の新婚生活は残念ながら ラブラブとは程遠いものだったのである。 「ただ一緒にいたかった」はずなのに。 「楽しい毎日が続いていく」はずだったのに。 「恋愛と結婚は違う」という言葉を 身をもって実感するのだった。 ひとことで言ってしまえば ふたりともまだ若く青かったということか。 私28歳。 夫の仕事の関係で地元を離れ 知人や友人が誰もいない土地での暮らしがスタートした。 この頃の私達は修復不可能か と思われるほど関係が悪化していた。 夫は新しい職場で心身共に疲労していたことだろう。 私は愛猫だけが心の支えの毎日。 日を追うごとにお互いの心が どんどん離れていくのを感じた。 同じ空間にいることさえ苦痛になっていたのである。 それでも他に行く所なんてどこにもないのだった。 1年間の期限付きだったものの 地元へ戻るまであと数ヶ月という頃。 私達の関係は限界を迎えていた。 精神的ストレスから私の体調がすぐれず 「このままじゃ体を壊してしまう」 と判断した夫の言葉により 私だけひと足早く地元へ戻ることになった。 私がひとりで住む家を探す為 急きょふたりで帰省した。 がん闘病中の父。父を支える母。 とてもじゃないが 別居を考えていることは言い出せなかった。 結果的にちょうど良い物件が見つからず その他諸々の理由も相まってあと数ヶ月 何とかふたりで暮らすことになったのだが 「別居」「離婚」 そんな言葉が会話に出てくるような状態で 「子供がほしい」と思うことなど到底できないのだった。
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