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「んぅ…は…ぁ」
「大人しく、ココにいろ。5分でええから。な? 5分したらココを出て、いつも通り仕事して、終わったら 『セラヴィ』 の横のコーヒーショップ。そこで待ってるから。…それでええか?」
近くのラブホテルで続きをしようと遠まわしに言えば、コクンと頷く仕草はあまりにも素直で。どうにもこの変わり映えが乙女のようだと、矢代は笑ってしまいそうになった。
扉の向こう。静かに怒りを漲らせたマスターの顔を思い浮かべれば、とても笑ってなどいられないが…。
「じゃ…後でな。アキ」
それでも、同じ大学のOBで昔から矢代を可愛がってくれてる彼なら、きっと許してくれる…だろう。
化粧室のドアを開け、店内のざわめきと特有の香りに包まれながら、矢代はマスターの待つカウンターへと向かった。
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