寿命の見える少年 3

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診療所の戸締りを狭山さんと相沢さんに託すと、私は少年をポンコツに乗せ『みんなの家』に向かった。 少年は車に乗るのを嫌がるかと心配したが、意外に素直だった。 ちなみに、ポンコツというのは私の車の愛称で、その名の通りよく故障する。 カーナビに施設の住所を登録すると、所要時間は三十分と表示された。 同じ市内で距離は十数キロ程度だが、西の郊外にある丘陵地帯の一画にあるため起伏があるのかも知れない。 車が走り出して5分も経たないうちに、少年は助手席で静かに寝息を立て始めた。 無理もない。小学四年生ならばそろそろ寝ている時間だ。
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