第1章

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この16年間、俺は恋なんてものをしたことがない。 別に興味がなかったわけじゃない。 幼稚園の頃以来、女子との交流がないのが現状だった。 それに、どっちかっていうと地味な男子。 見た目は中の下か、下の中の間くらい。 運動神経がいいわけでも、頭がいいわけでもない。 いわゆる、何にもとりえのない男子。 そんな俺の趣味は、写真を撮ることくらい。 俺の父親は写真家で、国内だけでなく、世界を飛び回っている。 だから、ほとんど家には帰ってこない。 でも、父の撮ってくる写真はとてもきれいで、俺のあこがれの存在。 小さいころから、カメラを持って写真を撮っていた。 しかし、俺は地味でとりえがなかったことから、小学校時代からいじめを受けていた。 さらに、ほとんど帰ってこない父を馬鹿にされることもあった。 だから、中学に入るときは小学校時代の人と一緒になるのを避け、誰も入らないような中学校に入学した。 結果は一緒だった。 小学校と何ら変わりはなかった。 俺をいじめて何が楽しいのか。 理解に苦しんだが、中学を一度も休むことはなかった。 休むと奴らに負けているような気がしたからだ。 意地になっていた時は、ないとは言い切れない。 必死になって気持ちを押し殺して中学生活が終わったのを覚えている。 高校を決めるころになった時、比較的に近く、専門知識の学べる高校を見つけた時、自分に合ったものが見つかるかもしれないと思った。 小学と中学の頃の人がいそうではあったが、それでも高校でも中学のようにめげたりはしないと誓った。
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