第1章

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あの後結局、選抜Ⅰは落ちたが、選抜Ⅱでは見事に合格していた。 落ちた時のショックで、やる気の出なかった俺に火が付いた。 でも、やりすぎてパンクしてしまい、試験を受ける気力がなくなってしまったのは誤算だった。 しかし、俺の得意な分野ばかりで、苦手な計算が出なかったところを見ると、運が良かったと思う。 それで迎えた今日の入学式。 長い長い入学式を終えたら、教室でのホームルームが始まる。 どうせ、担任の自己紹介と自分らの自己紹介ぐらいだろう。 後は、連絡事項とかを言ったりするんだろう。 教室内にいる人数は20人のみ。 中学の時は40人入っていたから、教室が広く感じる。 男子の方が多い学科と聞いてはいたけど、20人中女子が5人しかいなかった。 他の学科では女子の数が圧倒しているのに、ここだけ少なすぎる。 余計にかかわることはないだろう。 男女分かれて出席番号が決まっているため、俺は初めの方にいた。 岸邉 勇(キシベ ユウ)それが俺の名前。 何と俺は8番目に座っていた。 教室に入ってから10分経っても担任や副担任の姿もない。 教室内には保護者も入りきっている。 遅いなぁーと思っていると、教室のドアが開いて入ってきたのは、女の先生と男の先生らしき人だった。 「皆さんお待たせして申し訳ありません。ちょっとバタバタとしてまして、遅れてしまいました。」 しゃべりだしたのは40代位の担任らしき先生だった。 しゃべり方はほんわかとしていて、かなりゆっくりな話し方で、聞いていると眠気を誘いそうな先生だった。 授業では当たりたくはない。 「私、この生工科の担任を務めさせていただく、海塚 和代(カイヅカ カズヨ)と申します。担当教科は保健体育です。3年間クラスが変わりませんから、仲良く楽しい3年間にしましょうね。」
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