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「うわ~、素敵!」
目の前に広がる白い砂浜と穏やかな海を確認したエティア・ハーツは顔をパアッと明るくして嬉しそうに声をあげると、すぐにクルリと振り返った。
「カンナ、見て見て!誰も居ない海って気持ち良いわよ」
「分かったから、はしゃぐな」
彼女の大きなカバンを床に降ろしてから少しだけ呆れながら五月カンナは返事をした。
「う~ん、潮の薫りが凄くする」
両手を上に上げて大きく伸びをして、胸いっぱいに潮風を吸い込んだ。
フロンティア船団にいた頃にも海は行ったこともあるし肌で感じたけれど、こうして惑星の自然の海は初めての体験だった。
「ね、ね、泳ぎに行きたい!水着出して」
「急かすなよ」
カンナの小言をスルーして、エティアは自分のバッグをベッドの上に引っ張りあげると開けて中を探し始めた。
「今から本当に泳ぐのか?」
「そうよ、プライベートビーチだから他の人も居ないし、良いじゃない」
「お前、自分で言ったこと忘れてるだろう」
カンナに言われて、やっとカバンの中を探していた手が止まる。
「え、もしかしてもうそんな時間?」
「あと1時間ってところか」
「…分かったわ、泳ぐのは後にする」
少しだけしょんぼりしながらバッグを閉めて、そのままベッドに腰かけた。
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