第1章

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 おとなしくなったエティアの前を横切り、カンナはコテージのテラスにノートパソコン程の大きさの機械を置くとスイッチを入れてから空を仰ぎ、眩しそうに目を細めた。  そしてそのまま砂浜に降りると、 辺りを見回してデッキチェアを見つけるとテラスの前に2つ並べた。 「準備終わったぞ」 「ありがと。ね、日焼け止め持ってきたわよね?」 「ポーチの中に入れてただろう」  またバッグを漁っているエティアにテラスから室内に戻りながらカンナが言うと、やっとお目当ての自身がCMも勤めた日焼け止めクリームを見つけ出して早速腕に塗り始めた。  そして一通り塗り終えると鍔の広い帽子を被り、テラスへと出て砂浜のデッキチェアを見ると嬉しそうに口許を緩めた。 「カンナ、先に行ってるわよ」 「ああ、俺もすぐ行く」  返事を全部聞く前に砂浜に降りて、鼻歌混じりで楽しそうにデッキチェアに身体を委ねた。 「ほら、飲むだろう?」  エティアが差し出されたグラスを受け取ると、カンナも隣のデッキチェアに腰を下ろした。 「ありがとう。何、これ」 「シャンパン」 「そんなのあったの?」 「先に連絡して、用意してもらっておいた」 「手際が良いわね」  エティアはクスリと笑ってシャンパンを一口飲んだ。
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