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「そりゃそうだろ。人のことバカにした態度で、俺たちのことなんて全然相手にしてなかったもんな」
「そうだったかもしれないけど」
エティアが反論できずにいると、カンナが楽しそうに口角を上げた。
「でもそこがお前らしいところなんだから、それで良いだろ?」
「それって褒めてる?」
「褒めてはないかな」
カンナの答えにエティアは少しだけ頬を膨らませて小さくむくれた。
「太陽みたいだって言われるのも不満か?」
「それは賛辞として受け止めるわ」
隣の彼をジロリと睨んでから、デッキチェアに再び身を任せる。
「エティアが太陽…クレアが星かな。そうなると俺は月か」
独り言で一人納得しているカンナに、エティアが怪訝そうな視線を投げ掛けた。
「何の話?」
「月と星は太陽に恋してて、太陽は月と星に憧れているから一生懸命追いかけてるって話、知ってるか?」
「知らないわ。そんな話あるの?」
「母さんが話してくれたから、もしかするとあまり知られた話じゃないのかもしれないけど。月と星は太陽を追いかけて夜空を駆けて行き、太陽も月と星に会いたくて日が昇る。お互い待つことが出来なくて、相手の背中ばかり追っているって話だよ」
「何だか寂しい話ね」
エティアがポツリと感想を述べると、カンナも頷いた。
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