第1章 #2

7/35
前へ
/35ページ
次へ
 ソファーに寝そべり、だらだらと書類を読み直す。 「髪ちゃんと乾かした?」  マグカップをローテーブルに置き、髪に触れてきた国枝を見上げる。 「乾いたら寝るし。パン持ってきてくんない?」 「あ、今日移動販売のメロンパン買ったんだけど、食べる?」  移動販売。確か前にピックアップされていたような。 「食う」 「ならこっちで食べなよ? あんたの座ってるとこ、すぐパンくずだらけになるんだから」  はいはい。やっぱり綺麗好きなのか。  ソファーから起き上がり、ダイニングテーブルに移動する。  黄色いメロンパンを、もさもさ食べてコーヒーを啜った。 「焼きたては旨かったけど、どう?」 「旨いよ? フランスパン取って」  俺の言葉に、国枝は呆れた顔をした。いや違うって。 「これはこれで旨いよ? けどフランスパンは……つまり、メロンパンはどう頑張っても前菜かデザートなんだよ。メインはフランスパンなの。わかるかなー」 「そんな必死に弁解しないでもけっこうです。メインをどうぞ」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加