第1章 #2

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「クラムチャウダー?」 「それでもいいけどあれ! スパゲティのあれ。ああっと、ボロネーゼ?」  身を起こし国枝に言ったら、作ったことがないと苦笑いされてしまった。が、そんなことで諦める俺ではない。  すぐにボロネーゼを検索して、国枝にパソコンの画面を見せる。 「へえ、ミートソースとはやっぱ違うんだ」  隣に腰掛け、材料をチェックする国枝に、すぐ印刷するから作ってくれとお願いする。 「いいけど。じゃあ明日はスパゲティね」 「いや麺はいらない。公園のそばにあるパン屋で、フランスパンも仕入れてきてくれ」  平日は時間的に寄れないので、会社近くのパン屋や駅中で買ったりしている。だけど、あそこのフランスパンが一番旨いんだよ。 「ほんっとに好きなんだねフランスパンが」  だって、旨いんだから仕方ないよな。  国枝の作ってくれるボロネーゼが楽しみだったせいもあるが、土曜の俺の打ち込みスピードは神がかっていたと思う。いつもあれくらい集中してやりたいが、平日はなんだかんだと他の仕事が入ってくるからなあ。  何はともあれ早く帰ろうと、電車に飛び乗る俺は浮かれている。
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