83人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「いいんだよ。池田は俺に釘刺してくれたんだから」
たぶん、隆史は俺を見たらちょっかいをかける。そして俺が、ふらふら寄りを戻したら、それをネタに笑うんだろう。
池田は、それが許せないと怒っているんだ。
愛だよな、愛。
馬鹿にされんなって。あんなやつに、馬鹿にされてんなって。池田は、真面目に怒ってくれた。耳に、心に、痛かったがちゃんと届いている。
あの糞女は、情が深いんだ。
小さく笑って、シートに深く身を沈めた。
「ああ……眠い。早く寝てー」
今なら気持ちよく寝れそうだ。そんで明日は花見して、帰りにフランスパン買って、だらだらと家ですごそう。
「なあ、明日ビーフシチュー作って」
「……いいけど。颯吾さん米食べなよ米」
パンのが旨い。
マンションに戻り、靴も脱がずにそのまま玄関にダイブした。
「ちょっ、颯吾さん!?」
最初のコメントを投稿しよう!