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驚いていると言うより、呆れているような国枝の視線を無視し、きょろきょろとダイニングテーブルの辺りを見回す。
「クロワッサンは?」
あ、鞄にクリームチーズが。
思い出し、寝室に持ち込んだ鞄を取りに行った。袋を取り出し、用済みの鞄をソファーへ投げる。
クロワッサンにクリームチーズ……別にいいよな?
イスに座ってから、背中を向けている国枝に話しかけた。
「二割引きだったんだよこれ、クリームチーズ。国枝も食べる?」
マグカップを手に振り返った国枝は、返事をせずに眉を潜めた。その視線が、俺の額に注がれているのに気づく。
「あ……」
「何、どうしたの額」
マグカップをテーブルへ置き、俺の横に来て髪を掻き上げる国枝に焦る。
「壁で擦りむいたんだ。すぐ治るだろ」
「もしかして、残業じゃなく飲んできた?」
「残業もしたけど、少しだけ飲んだ」
国枝は、仕方ないなあと呟いて、リビングから出ていった。
焦った。ほっと安堵して、小さく笑う。なんで叱られるだなんて思ったんだか。
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