第1章 #5

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 フランスパンをひきちぎったら、国枝がテーブルをバンッ、と叩いたので思わずびくついてしまう。 「あのさあ! ……いや、いい。池田さん一緒だったんだよな? その同期って、颯吾さんのタイプとかじゃないよね?」  タイプ! 「ないないないありえない! 篠原だけは例えタイプだったとしても、タイプじゃないけど、ありえないから!」  恐ろしすぎる。ちぎったフランスパンを振り回して否定したのに、国枝は険しい顔のままだった。 「なんかその名前、どっかで聞いたな」 「池田じゃないか? あいつら仲いいし」  最悪コンビだし。 「池田さんの恋人?」 「違うだろ。たぶん。え、どうなんだろ知らないな」  いやでも違うか。恋人なら、篠原が隆史を泣かすとか許さないよな。けど、あいつらそういうの気にしなさそうだな。 「えー、あの二人が……。どっちもバイだから、なくはないんだろうけど……」
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