第1章 #5

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 なんかしっくりするけど違う気がするな。 「バイ? その人バイなの? 颯吾さんの会社、どうなってんだよ」  言われてみれば……。  手にしていたフランスパンにかじりついてから、コーヒーを啜り流し込む。 「ほんとだよな、営業にバイとゲイが二人づついるとか、すごいよな」  探せばまだいたりして、なんて笑ったら、国枝は額を押さえて渋面になってしまった。 「ほんっと能天気だねあんたは。んで? その篠原ってのは、颯吾さん狙ってたりしない?」  あ、なんだ。そういう心配してくれてたのか。  俺は国枝に、にっこり笑いかけ頷いた。 「ないよ。国枝が心配するようなことは、ない」  なんか、ヤバい。心配してくれてるんだな。  相馬のことも気にしているようで、よく聞いてくるけど。あれは俳優とかを見てるみたいな感覚なんだって説明したけどさ。  そうだよな。残業とか、接待とかで遅くなっても起きてるんだよな国枝。  なんか、いいな。心配されるのって、大切にされているみたいで嬉しい。  そんなふうに思うのは、俺が国枝を好きだからかな。他のやつに心配されても、干渉すんなって思うよな。
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