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「なんだかなあ……颯吾さん危なっかしいからなあ」
国枝は頬杖をつき、疑わしそうに俺を見ている。俺はフランスパンにチーズを塗り、にやにやとかじりつく。うまうま、幸せ幸せ。
「篠原はただの同僚だし、間違っても間違いは起こさないって。あいつ、超怖いから」
「どうだか。ねえ颯吾さん、少し自覚してくんない?」
「何を?」
「あんたが他のやつにふらふら靡いたりしたらさ。スゲー嫌だなって思うくらい、俺があんたに惚れてるってことを」
おー……なんか、わあお。
ストレートにぶつけられた国枝の気持ちに、心臓がバクバクと早鐘を打つ。
驚いた。気にかけるのも嫉妬するのも、いつも自分ばかりだったから、なんだろう。
「照れるな……」
気恥ずかしいというか、ヤバい国枝の顔が見れない。
「照れなくていいから忘れないで。来週には寮に戻るし。あー、心配だ」
いきなりわしゃわしゃと頭を掻き回し、テーブルへ突っ伏した国枝に視線を戻す。
「そっか。寮、戻るのか」
そういやもう、四月終わるんだよな。最初から期間限定の同居だったっけ。
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