第1章 #5

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 そっかー。来週にはもう、帰宅しても国枝いないのか。コーヒーも作ってもらえないのか。  なんか、それって、寂しいな。 「俺がいないからって、飲み歩いたりしないでよ?」  顔を上げた国枝から、視線を外してフランスパンをひきちぎった。 「どうすっかな」  クリームチーズをたっぷり塗り、口へ放り込む。  同居やめたら、どうなるんだろうな。国枝は元々ノンケだし。俺のこと、今は好きみたいだけど……どうでもよくなったりするのかな。そんなの、嫌だな。 「何言ってんの。玄関で寝たりすんだから、自重しなよ?」 「あんなの滅多にないって。ごちそうさまー」  いきなり味気なくなってしまったフランスパンを、コーヒーで流し込み俺は立ち上がった。  そっかあ、国枝出てくのか。そっかそっか。 「颯吾さん歯磨き」 「んー」  リビングを出て浴室へ行く。  洗面台の前に立ち、鏡に映る自分を見つめた。額に擦り傷作って、情けない顔で歯を磨いている男。  別に不細工じゃないよな。茶色い髪、茶色い瞳、青白い肌。普通くらいに整っている顔。  これでも、食事に誘われたりするんだぞ。女に誘われても嬉しくないけど。
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