宝石の海と人魚

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……ふうん。 まあ、別に興味ないし、ウソつこうが気にしないけどな。 とにかく、俺は指定の席に座り、料理を食べ始めた。 ディナーのメニューは 前菜にエビとパプリカのマリネ トマトのスープ メインはローストターキー デザートにオレンジの盛り合わせまでついてくる。 ……この、バターがたっぷり入った、旨そうだが日持ちしなそうなパンは、仕方ないからメノウに持って行ってやるか…… それにしてもずい分豪華な食事だな。 通常、船の食事というのは 塩漬け肉がちょっぴり入った塩スープが週に一度のご馳走! いつもはウジ虫の湧いたビスケットを天日にかざして、日光消毒をしてから食べてます♪ ……と、いう有り様らしい。 まあ、それは何ヶ月も航海する船の場合だから、この船みたいに片道3日の航海の場合はちゃんと新鮮な食材が手に入るんだろう。 それに、この船は観光客のために作られた客船だから、あまり客にマズいモノ食わせるわけにもいかないんだろうな。 ……そういや、ウジ虫のビスケットで思い出したけど、ウジ虫ってたまにこれ位のサイズのヤツがいるよなー……などと、くるんと丸まった白エビのマリネを食べながら、たわいのないことを考えていると なにやら、食堂の奥にあるカーテンが開く。 「レディース・エンド・ジェントルマン!! ネプチューン王国へようこそお越しくださいました!」 カーテンの奥はステージになっているらしく、なにやらショーが始まった。 俺のチケットはディスカウントで買った安物なので、席はステージから一番離れた入り口近くのテーブルだ。 まあ、ショーを見にきた訳じゃないし、別にいいんだけど。 ステージの上では、5・6人程の綺麗なねーちゃんがキラキラしい模造刀を持って踊っていた。 ネプチューンは[剣舞]と呼ばれる地方独特の舞が盛んな国でもある フラメンコのドレスみたいなデザインの衣装を纏い、ドレスの裾をひらひらなびかせて、右手に剣を持ち異国の舞を演じる美しき踊り子たち…… その派手で艶やかな外見に惑わされてはいけない。 この剣舞というダンス、元々はネプチューン貴族の子弟に王宮剣術の型を教える為に編み出された舞である。 激しい舞の中に、頻繁に剣を振り回す振り付けが組み込まれているだろ? あれはれっきとした剣術の型なんだよ。
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