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アトラス王国の王子は
ある時、岬で美しい乙女
[ローレライ]に恋をした
泡絹の衣を纏った風変わりな乙女
その美しさに心を奪われた王子は彼女を城に連れて帰り、妃とした
しかし
その翌年、穏やかだった海は大波を起こし、荒れ果てた
そして、海の果てから
[海の民]が軍を率いてアトラスの地に攻め込んできた
ヒトの上半身と魚の下半身を持った、異形の者ども……
その軍を率いるのは三つ叉の槍を携えた海色の長い髪を持った青年
彼は[海王]
海の民の王であった
アトラスの民と、海の民との長い戦が続き……やがて、王子は知ることとなる
ローレライは、アトラスの王子を暗殺するために海王によって遣わされた海の民の娘である事を
しかし、彼女は王子の事を愛してしまい、海の民を裏切った
その事に海王は怒り、アトラスとの戦を起こしたのだという
ローレライは、海王の怒りを鎮めるために岬から身を投げた
かつて、王子と出会い
愛を語り合った思い出の岬から…
彼女の身体は泡となり
海へと還った
海王はそれを知ると海の果てへと帰り、荒れ果てた海はまた元の穏やかさを取り戻した
しかし、ローレライはもういない彼女との思い出の品々も、ともに泡となって消えてしまった
王子との間に産まれた
一人息子を残して……
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「やがて、成人した彼らの息子が
古代語で[海王]という意味の
[ネプチューン]と名乗った事から
この国は[ネプチューン王国]と呼ばれるようになったのです」
[海の民]という単語に反応して、ガイドの話をつい最後まで聞いてしまったものの……
「……前に聞いた話と、同じか」
興味を無くした俺は、自分の部屋の客室に戻って休むことにした。
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