6人が本棚に入れています
本棚に追加
作戦はこうだ。
まずは、俺がこの大砲をぶっ放す
言うまでもなく、大砲を発射するとくそうるせー音がするので、海賊たちは見張りを数人置いて、船首の方に向かってくるだろう。
見張りが手薄になったところで、メノウが乗員たちを助け出す。 密航者である彼女は、奴らもノーマークなハズだからな。
あとは、まあ……メノウにこっちの加勢に来てもらえれば、なんとかなるだろう。
……もう少し余裕があればもっといい案を考えついたかもしれないが、今は悠長に作戦会議を開いている場合では無い。
とにかく、この大砲をぶっ放すコトが先決だ。 俺は大砲の砲身をぐるりと回し、あの胸糞悪い海賊旗を掲げるメインマストに照準を合わせ、どかんと発射した。
………。
……予想以上にデカい音だ。
とっさに耳を塞がなかったら、鼓膜が破れてたぞ…
しかし、オトリ役には丁度いい。
あとは、物陰に隠れて奴らが来るのを待てば……
と、おもったら……
「――よう、兄ちゃん。
よくも、散々好き勝手暴れてくれたじゃねーか!」
と、左手フックの船長が海賊をぞろぞろ引き連れてこっちへ向かってくる。
か…数が多い……ッ!
予想していたとはいえ……
しかし、その数ざっと十人ほど。だったら、乗員の見張りは一、二人程度のハズ。 メノウなら、余裕で乗員を助け出せるだろう……
しかし……
最後にやってきた海賊に羽交い締めにされたメノウの姿を見て、顔が凍りついた。
「……ごめんなさい、ギル…
わたし…し…失敗…しちゃった」
そう、弱々しく呟くメノウの顔は
月明かりの中でもはっきりと分かるほど青ざめ、真っ白だった泡絹のドレスは赤黒く染まっている。
ノースリーブのドレスから覗く白い右腕からは、血が滴っていた。どうやら腕を撃たれたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!