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「このバケモノ女も、お前の仲間なんだってなぁ? コイツの命が惜しけりゃ大人しくそのナイフを捨てな!」
と、船長の合図で海賊はメノウの頭にピストルを突きつける。
……ですよね~。
人質にするんでもなきゃ、わざわざメノウを生かして連れてこないだろうし。
しかし、別に密航者の女や乗員がどうなろうが俺の知った事ではない。 見捨ててさっさと海に飛び込んで……
と、
言いたいのはヤマヤマなんだが…
海賊たちにピストルを突きつけられているこの状況では、逆らったところで蜂の巣にされるのがオチだ。
「………。
このナイフだけでいいのかい?
他にも色々仕込んでいるんだけど?」
「バカヤロー!全部だ全部!」
……無論、武器を捨てたからといって『全部捨てたから命だけは助けてやろう』などという展開にならないコトぐらい分かっている。
なんとか……こうして時間を稼いでいる内に、この状況を打破するすべを考えなければ…!
俺は、一枚づつ服を脱いでゆくストリップ嬢のようにゆっくりとじらしながら一本づつ武器を捨てていく。
「……まずは、左手に仕込んだナイフが一本。 それから、ベストの飾りポケットに差してある万年筆型しびれ針。
このベルトをほどくと皮鞭
太ももにはナイフが二本
ブーツにも二本……」
『何本ナイフ持ってるんだよ!
手品師か、お前は!?』
と、海賊一同総ツッコミ。
俺は、帽子の羽根飾りを左手で引き抜いた。その根の部分は刃になっている。
「これで最後だ」
と、羽ナイフを見せるように左腕を船長の方に突き出し、右手を左腕の小手にそっと這わせた。
「そいつも捨てろ」
船長は苛立ったような口調で言う
俺は、ニヤリと笑うと
小手のスイッチを押した。
『――なッ!?』
呆気にとられる海賊たち。
しかし、もう遅い!
小手に仕込んでおいたフック付きのワイヤーが船長の体に巻きつき、身動きをとれなくする!
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