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そのまま船長の体を引き寄せると、その首筋に羽ナイフを当てた。
「……おっと。
この武器の事をすっかり忘れてた
こいつは[アンカー]
昔、キャプテンフックとかいう元海賊が持っていた仕込み武器を改良したモノでな。 武器としてだけじゃなく、フックを引っ掛けて壁とかよじ登ったり、こんな風に使ったり……色々役に立つんだぜ。
と、いうワケで……動くな!
動いたら、お前らの船長サンがどうなるか……わかるよな?」
そう言って、俺は海賊たちを睨みつけた。 海賊たちは元より、当の人質である船長やメノウまで一同揃ってあぜんとしている。
目には目を、歯には歯を
ならば……人質には人質を!
……と、いうわけで、とりあえず船長を人質にとってみたワケだが……
「ひ……人質をとるなんて
なんて卑怯なマネをしやがる!」
「いや、それお前らに言われたくないから!」
自分を棚上げして非難の声を上げる海賊達に、俺はすかさずツッコミを入れた。
「ボ、ボス……」
海賊たちは、かなりパニック状態になっているようだ。
コイツらにしてみれば、今まで人質をとったことはあっても、とられた事は初めてなのだろう。
人間、相手に全く予想外の行動をとられると頭がついていかず、つい相手の言いなりになってしまうものだ。
俺はこの機を逃さず、強い口調で言う。
「取引しよう。
船内の金銭は持って行って構わない。 そのかわり、人質を解放してとっとと失せろ!
お前らが取引に応じなければ、この男を殺す」
「ふざけんなよ、小僧!
野郎ども、こんな青二才の言うことなんか聞くんじゃねぇ! 俺のコトなんざ構わねぇ、今すぐコイツを撃ち殺せ!」
腕の中の船長は声を荒げた。
こちらからは顔は見えないが、相当腹に据えかねているようだ……まあ、当然か。
「そんな、ボス! ボスを見捨てるなんてできねーよッ!」
「そうだぜ!
ボスには俺たちを拾ってくれた恩があるんだ!」
「…お前ら……」
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