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「……捨て台詞なら、もう少し手短に頼むぜ、オッサン」
俺は肩をすくめると双眼鏡を覗き込んだ。 どうやら向こうも約束通り、小舟のロープを切り離したようだ。
メノウは、ふらつきながらもオールを漕いで、こちらの船に向かってくる。
……そういや、あいつ右腕を撃たれていたな……もう少し近づいたら、助けに行ってやるか。
と、思ったその時……
海賊たちが、メノウの小舟にむけて大砲を放った。
「――なッ!?」
「ハハッ!
見たか、このクソ女!ビルたちの仇だ!」
大砲はメノウに直撃こそしなかったものの、海がぐらりと揺れて彼女の小舟はひっくり返った。
くっそ、アイツら……!
なにかしでかすんじゃないかとは思っていたが……最後の最後にやってくれたな!
俺はメノウを助けるため海に……
と、思ったが……その前にやらなきゃならないコトがある!
「……悪い、メノウ
あと三分待ってくれ!」
俺はナイフを一本つかみ甲板に転がっている水夫の手斧を拝借すると、食堂の扉を手斧で叩き壊した
「…あッ!てめぇ、ズルいぞ!」
……とか、向こうの船から聞こえてくるが、この際無視だ。 先にこっちを助けないと、もしも俺に何かあった場合みんな、食堂の中で餓死しかねないからな。
入り口近くに転がっている人質の縄をナイフで切ると、そいつにナイフを手渡し
「悪い、コイツで皆の縄を切ってくれ!」
今度こそ、俺はメノウを助ける為マフラーを外しまとめ髪をほどいて、ベストとブーツを脱ぐと、海に飛び込んだ。
◆◆◆
「…ぷはっ!おい、大丈夫か!?」
俺は、バシャバシャと不格好に水面を叩き続けるメノウに向かって手を伸ばした。
……てゆーか、オイ。
まさかとは思うが……
「た…助けて、ギル……わたし…
カ……カナヅチなの~~ッ!」
「嘘だろっ!? お前、海辺の村出身って言ってたじゃねーか!?」
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