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「――そういえばゼインさんって、お子さん何人いましたっけ」
詰所の休憩室兼待機所にて、ふと思い付いたように話を切り出したのはアディスト=ディラグだ。
ちなみに巷で「サボり魔」と悪名高い彼だが、同僚の衛兵達の間では「最終兵器」とも評されている。
なので彼の扱いは決して悪いものではなく、むしろ度々気に掛けられる方向で愛されているようなものであった。
「っ!? な、何だその質問……! どういう意味で訊いている……!?」
唐突過ぎる話題に動揺を隠しきれずにいるのがゼインさんこと、ゼイン=リルベルだ。
この街を守る衛兵団の長であり、アディスト曰くこの地方では最強レベルの部類の人間らしい。
偏見を持たず話の分かる実力者ということもあって、衛兵達はおろか街の人々からも厚い信頼を向けられている。
なお、この団長。30代後半、妻子持ちである。
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