第三話 監禁

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賢次が台所の床にへなへなと座り込む。 建ほどではないが、賢次もひょろっと縦に長く、痩せていた。 きちんと食事を取っていないのだろうか。 建は、材料の中から必要なものを取り出して、椅子に座って待っているように促した。 「ナポリタンを作ります。店のメニューじゃないけど、付けあわせでパスタは使うので、賄いでは出すんです」 「うわ、マジ? 俺、ナポリタン大好き!」 それまで机の上に頭を乗せてへたっていた賢次が、水を得た魚のように起き上がる。 見ると簡単そうだが、前に洋食屋に勤めていたという調理場の人から教わった本格的なレシピだ。
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