第三話 監禁

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隠し味はにんにくのすり下ろしにウスターソース。 ウインナー、ベーコン、玉ねぎにピーマンをバターで炒めて、隠し味とケチャップで味をつけたらしばらく炒めてケチャップの酸味を飛ばす。 ほどよく炒めたらパスタを投入して、ここからはもう塩と胡椒だけで味を調えて終わりだ。 皿に盛ったパスタの上に粉チーズを振り掛けると、賢次がゴクリと喉を鳴らしたのが分かった。 そのまま放っておいたら、よだれを垂らしてしまいそうだ。 「どうぞ、食べてください」 浅倉は料理をしないと言っていたが、調理器具は一通り揃っている。 もしかしたら、一度は挑戦してみたのかもしれない。 鍋もフライパンも新品同様で、炊飯器は一度も使った形跡がなかった。 菜ばしも皿も揃っているのに、調味料が一切ないというのは諦めて全て捨ててしまったのだろうか。 さすがに店のように深鍋や圧力鍋はなかったが、これだけ揃っていれば大抵のものは作れるはずだ。
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