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僕が屋上から下りるに下りれずにいると、後ろでクスッと笑う声がしました。それがかわいらしいので振り返ると女の子でした。
「やあ、君はどうしてこんな所に?」
「あなたこそ、授業はいいの?」
「追われてるんだ授業所じゃないよ」
「そうなの?何かカッコイイね」
僕はいい気になり校庭を眺めました。すると金鼓を鳴らしながら念仏を唱えて歩く列が見えました。
「やだ何あれ気持ち悪い」
「何で校庭にあんな奴らが?」
見ているとどうやら葬式の行列のようでした。
「ねえ怖い。どんどんこっちに近付いてくる」
「あんなの全く怖くないよ」僕は強がりを言いました。
「本当?じゃあ見て来て!」
何を言い出すんだこの小娘は、しかし僕も男だ。「いいとも」言うと階段を駆け降り、その集団の方をじっと伺いました。
彼等は校庭の真ん中に穴を掘り始め、あっという間にその上に卒塔婆を立てると去っていきました。
死にそうな気分になって屋上を見ると、女の子は目配せしてその墓を指差します。言いようもなく怖くなりましたが、僕は恐る恐るそこに近付いていきました。
すると曇った薄暗い冬の空の下、風が打ち吹いている中、モゾモゾと動く影があります。よくみると大きな人が墓から出て来て、こっちに向けて全力疾走してきます。僕は逃げ出してしまいそうになりましたが、校舎の中に入れてはならないと戦う覚悟を決めてゆっくりと振り返りました。
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