恋の素。

辞書の想いは。

手には重たい古語辞典。

それはとても重い。

まるでわたしの気持ちのよう。

叶わぬ恋を夢見て、こんなものまで買ってしまうとは。

恋とは恐ろしい。

その後わたしは、先生に想いを告げることなどなく、高校を卒業した。

最後に写真を撮ってもらえば良かった、と卒業したてのあの頃は思っていたはずなのだが。

そんなことを懐かしく感じる日が来るなんて、あの日のわたしは考えもしなかった。