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座っているのに、瞬きすると眠ってしまう。
「疲れているのに、ごめんな。用事は朝話すから眠っていいぞ」
御形が、畳に布団を敷いている。見ているだけで、又眠っていた。
「やっと本物を見つけた。絶対に誰にも渡すものか…」
御形の呟きが聞こえる。本物って何だ?眠さに思考が麻痺して分からない。
「眠るなら上着脱げよ、皺になる」
御形がボタンを外す。自分でもボタンを外そうとするが、手に持ったまま眠っていた。
「子供みたいだな。…すごい可愛い」
可愛いって何だ?俺は眠ってしまっていた。
鳥の声が聞こえる。煩い位の鳥の声。ここは何処だ?覚醒してゆく思考に、目を開けると、アップで見えた顔があった。
「誰だ?こいつ…」
端正な顔立ちは、眠っていても様になっていた。
「御形?」
何故、御形のアップが目の前にあるのだ。ここは、御形の部屋だ。御形が居てもおかしくはないが、一つの布団で眠っているのはどういうことだ。
しかも、俺が着ているのは、御形のTシャツではないのか。いつ着替えたのだ?
「おはよう黒井」
俺、御形の腕の中に居た。どういうシチェーションなのだこれ。俺の背で、結ばれている御形の手。離れようと足掻くと、余計に締め付けられた。
「おはようは?黒井」
「おはよう」
御形が頬ずりしてきた。完全に抱き枕か、ぬいぐるみ状態だ。
「起きろ!御形」
手で御形の頬を叩く。体にひっついてくる顔を剥がす。
御形の目が開き、じっと俺を見ていた。深い色の瞳で、中に引きこまれそうだった。
チュバと変な音がしたと思ったら、俺、キスされていたのだ。しかも、唇にだ。
「何しているんだ、変態!」
「いや、かわいいからさ、つい」
逃げるように御形が起き上がり、にっかり笑っていた。
「用がこれなら、俺は帰るぞ」
起き上がると、Tシャツしか着ていなかった。
「…服、どこ?」
御形が指差した先に、ハンガーに吊るされて、俺の服があった。
「着て寝ると、皺になるだろう」
「パンツは違うだろ。皺になるか?」
Tシャツ以外、何も着ていない。
「ああ、マーキングした時に脱がしたっけ」
マーキング?恐る恐る、Tシャツをめくると、何かの病気のように、体中に大量に赤い斑点が付いていた。まさか、キスマークなのか。
「今回はマーキングしただけだよ」
「…マーキングって何?」
寝ている間に何をされたのだ。
「所有物の印」
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