第1章

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身体の弱い老人や赤子が少しずつ死んでいってる。飢饉ではないが、じわりじわりと出る餓死は人事ではない。 長は、お前はそこまで悩むな、と言う。 ばあさんは、もう少し御自分を労わってくださいまし、と言う。 昔から己の身を顧みずに動く癖があった。長所であるが短所でもある。それくらいは自覚していた。 「……そうだとしても……どうにか出来ぬものだろうか……」 はぁ、と一つ溜息をつく。 「……帰るか」 立ち上がる。柴を刈りつつも、茸や木の実を拾っていく。それでも、しかし、いつもより量が少ない。秋の間に熟すことが出来無かったのだ。 暫し思案しながら山から降りる。ここ最近は村まで出るようにしている。 「……?賑やかだな」
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