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なんとなく鬱々と暗かった村が、今日は何故か何処と無く明るい。童があちこちの家に入って行ってはなにかを叫んでいる。まるでお祭りの行列がすぐそこに来ているかのよう、な。
「―――柴刈りのおじいさん!」
「……応!」
向こうから一人の童が走ってくる。
「あのねあのね!もも……ももたろうが帰ってきた!」
「桃太郎がか!?」
こっちこっち、と童が吾の手を引っ張る。足がもつれる。
「早く!すぐそこまで来てるから!」
「―――おじいさん!?」
向こうから、桃太郎の声がした。童が吾の手を引っ張る。早く、早く、そこにいるじゃない。行こうよ!おじいさん、おじいさんですか?わたしは帰って来ましたよ!鬼も退治てきました!
ほら、鬼の宝もこんなに。
これでこの村が飢えることはないでしょう―――?
【五】
「……じいさ……ん!おじいさん!」
がばっ、と思い切り起き上がった。
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