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にこりと桃太郎は笑っている。ばあさんは涙ぐんでいる。家の外からお囃子が聞こえた。
平和。
平和、が、来たのか。
そうだとしても。
「……そうか……お前は……そう育ってしまったのか……」
「……おじいさん?」
「否。なんでもない。長と村の皆に挨拶はしたのか?」
「いいえ、取り敢えずおじいさんを運ばねばと」
「そうか、それなら早く行って参れ。特に長にはしっかり礼を言うのだぞ」
「是!」
颯爽と桃太郎が家から出て行く。外から一際大きな歓声が上がった。
きっと吾が間違っているのだろう。
今回の事に関しての正義は桃太郎で。
―――鬼の心配なぞしたって。
「……ばあさんも外に行きなさい。吾はもう少し休んでから向かう」
「はい」
ばあさんを見送って、目を閉じる。
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