第1章

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にこりと桃太郎は笑っている。ばあさんは涙ぐんでいる。家の外からお囃子が聞こえた。 平和。 平和、が、来たのか。 そうだとしても。 「……そうか……お前は……そう育ってしまったのか……」 「……おじいさん?」 「否。なんでもない。長と村の皆に挨拶はしたのか?」 「いいえ、取り敢えずおじいさんを運ばねばと」 「そうか、それなら早く行って参れ。特に長にはしっかり礼を言うのだぞ」 「是!」 颯爽と桃太郎が家から出て行く。外から一際大きな歓声が上がった。 きっと吾が間違っているのだろう。 今回の事に関しての正義は桃太郎で。 ―――鬼の心配なぞしたって。 「……ばあさんも外に行きなさい。吾はもう少し休んでから向かう」 「はい」 ばあさんを見送って、目を閉じる。
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