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後ろからお茶が差し出される。一つ頷いて、熱いそれを飲む。
「……落ち着いているな、お前は」
ふふ、と媼の笑い声が聞こえる。
「そうでしょうか」
「吾は怒鳴るばかりだったからな」
「それは致し方ないことでしょう。わたしだって驚きましたよ」
「黍団子は」
「あらまあおじいさん、慌てないでくださいまし。いろいろ準備だってありますし、そもそも今から作っても旅の途中で傷んでしまいますよ」
それもそうか、と納得する。静かにお茶をすすって湯呑を茶托に置く。急に手持ち無沙汰になってしまった。
「……長のところに行ってくる」
「どんなご用事でしょう」
「事の次第を伝えねば。反対は為さらないだろうが、念の為」
「はい、行ってらっしゃいませ」
一番上等の足袋を履いていると後ろから媼が羽織りを差し出してくる。それを受け取って、家から出る。
「そういえば、長も不思議な子どもを授かったのだったな」
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