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ただ何も語らることもない。俺は病室の片隅にあるベットのそばに腰を掛けている。触られている感覚はないであろうと思うが、俺は寝ている女性の手を握りしめる。助けてみせる、心に俺は誓う。俺はまた明日来るであろう病室を後にした。
「ただいま」
病院から家まで走ってきたから疲れた。姿は見えないが遠くのほうから声だけは聞こえた。
「お帰り。飯できているから運んでくれ」
「了解」
さっさと手洗いうがいを済ませ、言われた通り食事の準備をする。
「いただきます」
手を合わせて言うと、早速食べ始める。用事が一通り終わったのか姿をあらわし、向かいの席に座る。
目をちらりと向けて確認するも、俺は食べ続ける。
・・・体があったまる。落ち着く。
俺の前で食事をしている彼は、俺を育ててくれた恩人だ。彼にはとても感謝している。まだまだ未熟だがいろいろのことを彼から教わった。2年前くらいから学校にも通わせてもらっている。彼のおかげでのことだ。本来なら俺は学校に通うことができないのである。なぜなら・・・
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