霧ヶ峰組の若頭

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  俺、久島 進(クシマ シン)はたった今、人生を変える選択が加わった。 俺の家庭はとてもよいとは言えないが、それなりに幸せな家庭であった。しかし、つい先日その両親が不慮の事故で亡くなった。親戚のいない当時の俺は高校を卒業したばかり。入学予定だった大学には行けなかった。何故ならそこは私立だったから。頼る先のない状態で高い授業料は払えないと思ったからだ。 一先ずバイトをして先を考えようと探している時にある男性に声をかけられた。それで俺の人生はねじ曲がった。 1時間相手をするだけでいい、5万入る……今考えればそんな旨い話ないのに当時の俺は頷いてしまった。 仕事は所謂性欲処理だった。相手は男、俺は女役でその日のうちに感じたことのない痛みを受けた。 最初はやめようやめようと思っていたのに、目の前に現金が見えるとやめようにもやめられなかった。まったくもって馬鹿である。 そして今日も男とラブホテルに向かう。しかし手前で止められた。 黒服の女に。
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