第1章

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 窓の無い部屋で診察は始まる。  椅子に座らされて、白衣を来たお医者さんに最近の様子を軽く聞かれた後、アタシはカーテンに仕切られたベッドに寝かされて点滴をうつ。  何かの病気らしい。  歌うことに差し支えないから、これくらいはどうと言うことは無い。  うとうとと眠りにつく。  思い出すのは妹と過ごした日々のことで、いつもアタシに笑いかけてくれて……ぐちゃりと溶け落ちて、ミイラになって、骨に変わる。  そうなったところで、アタシは息を切らしながらベッドから起き上がって、また眠りにつく。  ここにくるといつもそうだ。  何度も何度も妹は死ぬ。  心の中で生きているはずなのに、思い出すと必ず死ぬ。  生きていれば死ぬ。  当たり前のことなのに、あんまりじゃない?
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