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「…大河…俺は…大丈夫…だから…」
体育教師におぶられた俺は、大河に心配をかけまいと、頑張って笑顔をみせた。
「…試合、頑張ってよ…負けたら、笑って…やる…」
「…あぁ。…わかったよ、龍。」
俺のことなんて、気にしなくていいんだよ。
大河は、大河のするべきことをすればいいんだよ。
俺はそのまま、保健室へ連れていかれた。
後ろからは、心配そうな顔をした雅人がついてきてくれた。
「やはり、頭にボールが当たるとなると、不安が残りますね。」
「頭がクラクラしたり、気持ち悪いという症状が出でいますし…病院に連れていきましょう。もう、連絡はしましたので、すぐ診てもらえると思います。」
体育教師と保健医の会話を、俺はベッドの上で聞いていた。
寝転んでいるため、気持ち悪いのは幾分か収まったけれど、頭が痛いのは治っていない。
思いのほか、事が重大になってしまいそうだ。
「…雅人、ごめんね…心配かけちゃって…」
「気にすんな。」
布団から顔を出し、ベッドの横にある椅子に座っていた雅人に謝った。
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