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屋上へ通じる廊下を走った。
角を曲がったとき…
ドンッ
「痛ッ」
「わッ?!」
東堂先輩と出合い頭にぶつかってしまった。
「だ…大丈夫かい?龍君?」
「…大丈夫です…」
まずい。
この顔、見られたくない…
俺は下を向いて、必死に顔を隠そうとした。
「…先輩は、なんでこんなところに…?」
「あぁ、僕は、休憩だよ。1人で屋上で少し…考え事をね…で、龍君こそ、なんでここへ?しかも、走ってくるなんて…」
不思議そうに尋ねられて、返答にこまる。
「…あ、お、俺も、少し1人になりたくて…」
「ふぅん…?…って、龍君?…泣いてるの?」
「…え?」
さっき袖で拭いたはずの涙が、また流れ出した。
…クソッ…
止まれよ、バカ…
「…な、なんでもないで…す…ッ」
「そんなわけないでしょう?…どうしたの?」
堪えようとすればするほど溢れ出して、俺の頬を濡らしていった。
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