Dragon's viewpoint 10

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「ほ、本当に、大丈夫ですから…」 「待って、龍君。」 走って屋上へ行こうとした俺の腕を東堂先輩が掴んだ。 「さすがに、好きな人が泣いていたら心配してしまうよ。…どうしたんだい?」 優しくそう言ってくれる東堂先輩のことを好きになれたら、どれだけ気持ちが軽くなるんだろう。 でも、俺は… こんなに苦しくても… 「も、もう、ほっといてください!…どうせ、大河とはどうにもなれないんだ!」 …大河のことが、好きで好きでしょうがないのだから。 思わずとんでもないことを叫んでしまったが、そう思ったのは1人になって落ち着いてからのことだった。 俺は東堂先輩の手を振り払い、屋上のドアを開けた。 後からついてくるかと思ったけれど、東堂先輩は屋上に来なかった。 …気を遣ってくれたのかもしれない。 …でも… あんなこと言ってしまって… これから、俺はどうすればいいだろう… 俺は膝を抱え座り込み、昼休みが終わるまで教室に帰らなかった。 1人、心の中で泣いていた。
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