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「龍君ってさ…好きな人、いるの?」
「…え、好きな人?」
予想していた言葉と違っていたので、思わず聞き返してしまった。
…まさか…
「えっ…えっと…」
「…大河君、でしょ。」
核心を突かれてしまった。
「お昼、屋上の近くで言った君の言葉。…あれ、大河君のことが好きだって、ことでしょ。」
「…やっぱり…ばれましたか…」
ここまで言われてしまっては、隠し通すことなどできない。
…言ってはいけなかったのに…
「…俺は、小学3年生のころから、ずっと、大河のことが好きでした。…気を紛らわそうと、女の子と付き合ったりしましたけど…だめでした。余計大河のことを好きになってしまって…でも、そんなこと、実の兄になんて…言えない…」
今まで誰にも話したことがないことを言ったせいか、気づけば、涙が零れ落ちていた。
「…龍君…」
「…東堂先輩は、すごくいい人で、優しくて…きっと、大切にしてくれるんでしょうけど…俺は…大河のことしか…好きになれないんです…」
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