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「…大河君に、想いを伝えたくないのかい?」
俺の質問には全く答えず、東堂先輩は俺に聞き返した。
「…それは…」
もちろん、伝えたい。
伝えたいに、決まっている。
「…伝えたい…です…」
「よし。」
東堂先輩は、包帯をまいた俺の頭を優しく撫でた。
…あ、先輩の手、温かいな。
ガチッ
ドアを開けようとする音がする。
「…いいかい、龍君。僕が言うことに君は何も言わなくていい。…これは僕からのお詫びだから、君は何も気にしなくていい。ただ…僕に委ねてくれれば、大丈夫だから、いいかい?」
口早にそう言うと、ベッドに座っていた俺の身体に布団をかぶせた。
そして、その俺になぜか跨る東堂先輩。
…一体、これから何が始まるというんだ…?
保健室の鍵が開く音がする。
東堂先輩は俺の両腕を片手で掴むと、俺の耳元で囁いた。
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