プロローグ

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しかし澪は首を縦に振らず、ギュッと犬の首に抱きつく。 「飛鳥。この子はこの暑い中、外で一匹で待っていたんですよ? またその中に放り出すなんて…」 私には出来ません。 そう言って、澪は小さく首を横に振る。 俺はそれに困りながらも、尚も言い募ろうとする。 ───が。 「いいじゃないの、飛鳥君。 ウチで飼ってあげようよ」 にっこりと笑いながら、金髪碧眼の美少年がドアから顔を出す。 「「ノア!!!」」 俺と澪は、同時にその美少年の名前を呼ぶ。 この美少年の名前は ノア・シュトッフェル。 名前からも分かるように純日本人ではなく、日本人とイギリス人のハーフだ。 ノアの、年上のお姉さま方にもてそうな可愛らしい顔が、悪戯に成功した子供のような表情になる。 そしてそのまま犬の側に近寄って 「ちょうど番犬が欲しかったんだよ。 いいでしょう、飛鳥君?」 にっこりと俺に笑いかける。 しかし、にっこりと笑ってはいるが、後ろに漂っている威圧感たっぷりのオーラが、断ることを拒否している。 元から彼の命令には逆らえないが、今はそれにプラスして命の危険まである。 彼は、13歳ながらこの探偵社──【万事探偵支部】のボスを努めているのだ。
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