第1章

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メトロノームに合わせて、四分音符→八分音符→三連符→十六分音符。 楽しいのなんのって!!ここの学校はかなり成績がいいらしい。 それもそのはず、まだ見ぬ音楽担当のヌマティ(50代後半の女性)は鬼教師らしい。 広美ちゃんのサックスは1週間もしないうちに届いた。 自主練と全体練習があって、週に3回くらい全練がある。 全練のときは、やけに先輩がピリピリしている。 その理由がこんなにもすぐ分かるとは思いもせず(・.・;) スプリングマーチという曲で、私はバスドラに抜擢された。まぁ立候補しただけなんだけどね。 それぞれ楽譜を見ながら練習し、ヌマティが現れミンナが起立した。ヌマティサマサマかよ。 誰かが、「今日もよろしくお願いします!」って言うと、 後に続いて、「「お願いします!!」」とミンナが言った。ほぉ、なるほど。 そしてヌマティは楽譜を見ながら指揮をとるように両手を上げた。 ミンナが息を吸う。そして演奏が開始された。 唇が渇き、舐めても舐めても納得がいかない。カサカサだよぉ。 ヌマティが手を下ろし、演奏が中断された。どうしたの?? ヌマティ「こら寺田!!そんなに口が渇くならメンソレターム塗りなさい!!」 アタシだったのね、失礼しました。 ・・・?メンソレターム・・・。 私「はい。すいません。」 恐らく、メンソレータムですよね? 同じパーカッションでティンパニー担当の弥生先輩が座り込み、ティンパニーに隠れて 声を殺して笑っている。 ほら、やっぱりメンソレータムだよね? あっ、メンソーレタムにしたら沖縄限定みたい(笑)。 いやいや、こんな事考えてたらまた怒られてしまう。 何度かミンナで合わし、色んなパートの人達が怒られている。 その度に最初から演奏する。 ヌマティ「じゃあ今日はここまで。」 ミンナが起立して、「「ありがとうございました!!」」と言う。 これが本来の“先生と生徒”なのだろうか。私には分からない。 それにしても、素晴らしい演奏だ。県大会が楽しみになった。 タバコの味を覚えた私は、父のを何本か盗って近くのスーパーに行く。 ここのスーパーの駐車場が溜まり場となるのである。 自分が通っていた保育所が目の前にあって、時々懐かしく思う。 あの頃はまさか自分がこんなトコでこんなコトするなんて思ってもいなかったし。 ここの溜まり場は、〔アーズ〕と呼ばれていた。由来は知らない。 近くには酒屋があり、お酒も覚えた。
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