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私には、抱きしめることしかできないけど・・・。
だって、まだまだ生きたがってる。
生き物は絶対いつか死ぬんだ。
そのときは自然に心臓が止まるよ。
だから、それまで待ってみない?
小学生の高学年にもなると、親の手伝いがしたくなる。
母「これは簡単だから、やってみる?」
私「うん!!」
マジでドジ。
早速中指を切ってしまった。
と同時に、「あら!」と言い、母は玄関から出て行った。
え・・・放置。
中指からは血が流れ、緑色のキュウリが赤く染まった。
とりあえず、水道で血を流し大急処置。
母がアロエを千切って帰ってきた。
母「痛かったね、もう大丈夫よ!」
そう言いながら、大きな絆創膏を貼ってくれた。
母「テレビ見ながら待っててね、すぐご飯できるから☆」
私「うん・・キュウリ・・ごめんなさい・・。」
母「何言ってんの?キュウリなんかどうでもいいでしょ。問題は傷よ!
まぁ、傷ぐらいしてみなきゃ世の中生きていけないけどね。」
やっぱ強いな。
今日は広美ちゃん家に寄らず真っ直ぐ帰った。共働きのため私は鍵っ子。
雨が降ってきたなぁ。洗濯物入れるぐらいなら私にもできるぞ?
あ、お母さん傘持って行ったのかなぁ?
不安になった私は50円と傘を持って、駄菓子屋に行った。
10円のえびせんを買い、母が自転車で登場するのを待っていた。
森のくまさんを1人で輪唱しながらね。
今、何時だろう、もうここを通ってもいい時間なのにな。
暗くなりだし、もしかして違う道から帰ったのかもしれないと思い、家に向かった。
が、母はまだ帰っていない。父もまだ帰っていない。
当然、思春期の兄と姉もまだ帰っていない。
もう6時になるよ・・いつもは狭く感じる家も・・今は無駄に広く感じる。
テレビを見る気にもならず、不安になり広美ちゃんに電話をした。
「え?遅いね!?家に来て一緒に待つ?おいでよ?」
優しい言葉に少し救われ、「もう少し待ってみる、ありがとう。」と言って電話を切った。
いつもはしない宿題をしよう、そしたら帰ってくるかも!
いつも宿題をしないから、ミンナに嫌われたのかなぁ。
〔可奈は今1人で宿題しています〕っていつも流れる6時のお知らせで言ってくれないかなぁ。
「「ガチャン」」
玄関に走ると、母が笑顔でただいまと言った。
私「お母さん!!」
母「なに?どうしたの?そんなに急いで。」
私「遅いよ??!!雨降ってたでしょ?」
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