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その瞬間、私は吸い込まれたように彼の雰囲気に釘付けになった。
目の下の涙袋、高い鼻、綺麗な唇。
アッシュブラウンのような髪色。
「えー、高校生活はとてもドキドキがいっぱいで、これから何が起こるのか、自分にもわかりません。でも、再来年の今頃、笑顔で楽しかったと言えるような、学校生活を、僕は送ってゆきたいです」
ハスキーボイスで、今まで聞いたことないような声。
「うわー、声もイケメン!」
こっちは真剣に聞いてるというのに、隣でキャーキャー騒ぐ宇野ちゃん。
…宇野ちゃん。
これ以上やったら、にっしーに告げ口してやるんだから。
声には出さなかったけど、決心してまた彼の挨拶に耳を傾けた。
「………新入生代表、與 真司郎」
アタエ シンジロウ…?
どこかで聞いたことあるような名前…
必死に思い出を辿らせてみるも、中々思い浮かばない。
んー、有名人の名前なのかもしれないな。
ミーハーな宇野ちゃんに毎日、聞かされてるし。
その中にあったのかも。
「與だって! 珍しい苗字だよねぇ!」
「そうだね…」
うん、気にしないどこ。
どうせ、こういう人種とは関わらないんだし。
「千晃ー! 帰ろー♪」
入学式が終わり、クラスのHRも終わった。
運良く、私と宇野ちゃんは同じクラス。
にっしーは離れちゃったけど、秀太とは同じクラスなんだぁ♪
にっしーには悪いけど、結構 イイクラスかも♪
あ、だけど もうひとつ。
私たちのクラスには、あの與 真司郎くんもいる。
しかも、あいうえお順だから 席が私の隣なの!
與→伊藤→宇野ってね。
宇野ちゃんは私の後ろなんだぁ。
…で、宇野ちゃんの隣が浦田 直也くん。
背が高くて、妙に大人っぽいの!
初対面だったけど、すぐに仲良くなれちゃった♪
「宇野ちゃんと千晃、家 近いの?」
速攻 仲良くなった私たちに、直也くんが問いかけた。
「うん。中学校も一緒だったからね!」
「へぇ~。どこ中?」
「桜川中学だよ。あ、にっしー来た!」
私たちのクラスの前に猛ダッシュで走ってくるたらこ唇。
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