第一章

3/22
87人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
その瞬間、私は吸い込まれたように彼の雰囲気に釘付けになった。 目の下の涙袋、高い鼻、綺麗な唇。 アッシュブラウンのような髪色。 「えー、高校生活はとてもドキドキがいっぱいで、これから何が起こるのか、自分にもわかりません。でも、再来年の今頃、笑顔で楽しかったと言えるような、学校生活を、僕は送ってゆきたいです」 ハスキーボイスで、今まで聞いたことないような声。 「うわー、声もイケメン!」 こっちは真剣に聞いてるというのに、隣でキャーキャー騒ぐ宇野ちゃん。 …宇野ちゃん。 これ以上やったら、にっしーに告げ口してやるんだから。 声には出さなかったけど、決心してまた彼の挨拶に耳を傾けた。 「………新入生代表、與 真司郎」 アタエ シンジロウ…? どこかで聞いたことあるような名前… 必死に思い出を辿らせてみるも、中々思い浮かばない。 んー、有名人の名前なのかもしれないな。 ミーハーな宇野ちゃんに毎日、聞かされてるし。 その中にあったのかも。 「與だって! 珍しい苗字だよねぇ!」 「そうだね…」 うん、気にしないどこ。 どうせ、こういう人種とは関わらないんだし。 「千晃ー! 帰ろー♪」 入学式が終わり、クラスのHRも終わった。 運良く、私と宇野ちゃんは同じクラス。 にっしーは離れちゃったけど、秀太とは同じクラスなんだぁ♪ にっしーには悪いけど、結構 イイクラスかも♪ あ、だけど もうひとつ。 私たちのクラスには、あの與 真司郎くんもいる。 しかも、あいうえお順だから 席が私の隣なの! 與→伊藤→宇野ってね。 宇野ちゃんは私の後ろなんだぁ。 …で、宇野ちゃんの隣が浦田 直也くん。 背が高くて、妙に大人っぽいの! 初対面だったけど、すぐに仲良くなれちゃった♪ 「宇野ちゃんと千晃、家 近いの?」 速攻 仲良くなった私たちに、直也くんが問いかけた。 「うん。中学校も一緒だったからね!」 「へぇ~。どこ中?」 「桜川中学だよ。あ、にっしー来た!」 私たちのクラスの前に猛ダッシュで走ってくるたらこ唇。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!