2014年11月

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11月20日(木)  体育の時間のバレーボールで、初めて橋本さんと話した気がする。私はいつもサーブで緊張してしまいだめだったのだけど、今日はたまたまうまく入って、たまたまサービスエースになってしまい、呆然とする私に代わって橋本さんが、「見たか!これが秘法立花サーブじゃあ!」と叫んでくれた。バレー部の橋本さんが心底楽しそうだったので、なんだか私も誇らしい気持ちになった。  放課後は部室に柳沼先輩がきていた。受験勉強があるからと言ってはやめに出ていってしまったけれど、私がアドバイス通りに日記をつけていることを報告したらちょっとだけ驚いてくれた。これからも頑張ろう。  そういえば、先輩の日記には何が書かれているのだろうか。先輩のクラスのこと? 受験のこと? 小説のこと?  体育のことも、書かれてたりするのかな。  先輩が書く物語は日常描写がとっても繊細できれいだけど、女の子が主人公だったりもして、そのまま先輩の日常と結びついてるのかどうかはわからない。  今度見せてくれないかな、と思う。案外頼んだら簡単に見せてくれそうなのが柳沼先輩のすごいところだ。私の日記は絶対に人に見せられないので、なおさらそう思う。  この日記を読み返してみると、けっこう、男の子のことばかり書いている。安西くんなんかはともかく、小山くんにこの日記を読まれたら私は死ねると思う。  やっぱり夜は、自己嫌悪で忙しい。
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