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静まり返った放課後の校舎。 陽が沈みかけ、窓から差し込む光が廊下を朱色に染めている。 橘唯哉(タチバナユイヤ)は図書室から帰る途中だった。どこからか声が聞こえ、ふと足を止める。 おそらく階段の踊り場の方からそれは聞こえてきた。 聞き耳を立ててみると、どうやら言い争っているようだった。 「他にいるんでしょ?!知ってるのよ!」 言い争うというよりも、女性が一方的に声を荒げているようだ。しかも内容的に恋愛のもつれ。 「…私に…飽きたの?」 震える女性の声からして泣いているのだろう。 それでも未だ相手側の声は聞こえない。 学校でよくやるな… 高校に入って半年経つが唯哉は恋愛に疎く、興味もないので正直どうでもいいと思っていた。
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