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「嫌だったよな、ごめん」
先ほどまでの表情が一変し心配そうに唯哉を見つめる。
辰暉は何も悪くない、平気だと懸命に首を横に振ると柔らかく笑ってくれた。
その笑顔を見ただけで胸がぎゅっと締め付けられる。
「食べるか」
「うん」
「おいで」
「え?」
えええ??!
手招かれた先は辰暉の真ん前で、何を言われてるのか理解するまで時間がかかってしまった。
驚愕するが構わず手を引かれ、半ば強引に辰暉の脚の間に座らされる。
まるで後ろから抱き込まれるような体勢に全身が緊張しパニックで頭の中がどうにかなってしまいそうだった。
「早く食おーぜ」
「っ…このまま?!」
「当然♪」
この落ち着かない状態で食事なんて出来るわけがないと抗議したいが驚き過ぎて言葉が出ない。
「唯哉~」
その上、先ほどから辰暉の吐息が耳を掠め別の意味で落ち着かない。
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