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「だからぁ~!彼女居んのか、って聞いてんだよ!」
「かっ、彼………女?」
突然の言葉に口がぽかんと開く
彼女なんて生まれてこの方居たことないし、縁のない言葉だった
西林は中学の頃から彼女が居て…
キスしただの初めてがどうだったの、聞いてもいないのにペラペラ話すから結構耳年増だったりはするけれど
「居ません」
「じゃあ、好きなやつは?」
「好きな…人」
「何だよ、その反応!居るのか!?」
………怖い…
「えーと………居ない…です、はい」
「本当に居ないのか?」
彼女の問いかけに、何度も首を縦に振った
「そう、か…。居ないのか」
「あの…」
「…うん…よし!阿部!」
「はっ、はい?」
もう勘弁して…
「お前のことが好きだ!」
───は?
何?
『好き』………って…言った?
多分今、僕はものすごく間抜けな顔をしているかもしれない
それぐらい衝撃的だった
「え?な、何?『好き』って、ぼ…僕のこと?」
嘘だろ?
「女に何回も同じこと言わせんな!恥ずかしいだろ!」
でも、やっぱり嘘じゃないらしい
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