階段

2/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
いつも歩く朝の道のりに、いつもの顔ぶれがバス停に並ぶ… 毎日逢っている筈なのに… 『おはよう。』 の、一言も、笑顔も出さずに立ち並ぶ人の群れ… 車出勤なのか…道路を走る車やバイク…私と違った個人プレーが少し羨ましい… バスに乗る三段の階段…顔をあげても見慣れた同じ顔が乗り込む私達を見下げている…この瞬間が私は一番嫌いだ… 人の眼が冷たく、蔑まれて感じる…だから私は乗り込む人間を誰も観ない… いつの頃からだろう… 人を観なくなったのは…いつの頃からだろう… 会話をなくしたのは… 幼き頃は、なんの疑いもなく話し掛けた私… 公園で、知らない彼等とサッカーをして遊んだ… クラス替えで、前の席の知らない彼に話し掛けた私… どこに逝ったのだろう…あの頃の私… ねぇ…あなた… 昔の私を知りませんか?
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!