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体に伝わる小刻みな揺れ。断続的な、特徴のあるノイズ音。時折聞こえる猫のような鳴き声は、頭上から。
──そう、それはいわゆる、船上。
「いや~、さっすがお頭!!」
その中心部にある船長室に、男たちは集っていた。
「あの護衛つき商船を襲って、たんまり積荷いただいちまったってんだから!!さっすが海の帝王、お頭!!」
男たちの中で一際小さい男が、ひげもじゃで、頭にバンダナを巻いている男に言う。バンダナ男は、満足そうに踏ん反り返った。
「ジミー、いいこと言うじゃねぇか!晩飯の唐揚げ、俺の分をくれてやるぜ」
「さすがお頭!!」
ジミーが嬉しそうに手を叩くと、他の男たちはブーブー文句をたれる。
「ぐははは、お前たちもなんかすることだ!!おっと、ところでトム、頼みがあるんだが?」
バンダナ男の突然の指名に、トムは大慌てで目前に飛び出そうとする。すると途中仲間の足に引っ掛かり、派手に転がり出てしまった。
「おいおい、そう慌てんなよ!!それよか、あの商船に乗ってた女の女医、連れてこい」
「い、イエッサー…あ、お、お頭…」
蚊の羽音のような、弱々しい声。
「なんだ?」
「あ、あの…女の女医じゃなくて、"女の医者"か、"女医"にした方がいいと思います」
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